日本は、「2030年までに新築住宅の平均でZEH(ゼッチ)の実現を目指す」という政府目標を達成するため、2015年に策定した「ZEHロードマップ」に基づくあらゆる取り組みが行われています。ZEH住宅の推進に向けた取り組みの中でも、特に代表的なものが「ZEH補助金」です。
そこで今回は、そもそもZEHとはどのような住宅を指すのか、ZEH補助金の種類にはどのようなものがあるのかを徹底的に解説します。各補助金の条件・金額も詳しく紹介しますので、マイホーム購入を検討している人はぜひ参考にしてください。
1.ZEH(ゼッチ)とは?
「ZEH(ゼッチ)」とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称であり、高い断熱性をベースに高効率な設備システムによる省エネを実現したうえで、再生可能エネルギーを導入することで一次エネルギーの年間消費量を概ねゼロとなる住宅のことです。簡単にいうと、「生活に必要となる消費エネルギーを自らまかなえる住宅」を指します。
ZEHを実現するためには、住宅において下記3つの要素が欠かせません。
断熱性能
住宅の断熱性能が低ければ、室内の気温が外気温の影響を受けやすくなります。従って、冷暖房の使用頻度も高まり、消費エネルギー量も増加する傾向です。消費エネルギー量を抑えるためには、断熱性の高い住宅でなければなりません。
省エネ性能
一次エネルギーを消費するのは、冷暖房設備だけではありません。消費電力の少ないLED照明や給湯システムを導入することも大切です。また、エネルギー量を把握できなければ電力使用の最適化を図ることもできません。エネルギー量を把握しながら家庭で使用するエネルギーを上手に節約するためには、HEMS(ヘムス)などのエネルギー管理システムも必須です。
創エネ性能
前述の通り、ZEH住宅は、生活に必要となる消費エネルギーを自らまかなう住宅を指します。単純に一次エネルギーを抑えられるだけの住宅は、ZEH住宅とはいいません。使用するエネルギーをまかなうためには、太陽光発電システムといった再生可能エネルギーシステムの導入が必須です。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」
2.【令和4年度】ZEHの補助金|条件や金額は?
ZEH住宅を建てる最大のメリットは、「経済面」にあります。高断熱性であるうえに、あらゆる設備システムを導入するため、月々の光熱費を抑えられるだけでなく住宅の資産価値も向上します。加えて、国が定めるZEH基準を満たした住宅は補助金が支給されるため、経済面におけるメリットは幅広くあるといえるでしょう。
ZEH関連の補助金は事業者が対象となっているものが多くありますが、このような場合でも工費の減額を受けられるなど間接的に恩恵を受けられる可能性があります。
また、ZEH関連の補助金を受けるためには、「ZEHビルダー」として登録した事業者(工務店・ハウスメーカーなど)が住宅設計・建築をし、かつ専門的な補助金申請も行う必要があります。住宅取得者がZEH関連補助金を交付してもらうために申請書類を作成・提出する必要はありません。ZEH補助金を受けたいという場合は、ZEHビルダー・ZEHプランナー(設計事務所)に相談してみましょう。
では、ZEH補助金には具体的にどのような制度があるのでしょうか。ここからは、令和4年度(2022年度)に実施されるZEH補助金制度についてそれぞれ詳しく紹介します。
2-1.戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業とは、ZEH住宅をはじめとした省エネ住宅を取得した個人を対象に補助金が交付される事業です。当事業の目的は、国が掲げる政府目標の実現のほか、CO2排出量の削減が挙げられます。そのため、新築住宅の建築だけでなく既存住宅のリフォーム・リノベーションも補助対象住宅となっています。
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業の補助金・条件は、下記の通りです。
補助対象 |
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補助金 |
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出典:環境省「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業(経済産業省・国土交通省連携事業)」
※2022年4月3日時点の情報です
2-2.集合住宅の省CO2化促進事業
集合住宅の省CO2化促進事業とは、要件を満たす新築集合住宅・集合住宅の省エネ化・省CO2化に向けた断熱リフォームを対象に補助金が交付される事業です。ZEHのさらなる普及はもちろん、現行の省エネ基準に適合していない既存住宅の性能向上を目的とした補助金制度となっています。
補助対象 |
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補助金 |
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出典:環境省「集合住宅の省CO2化促進事業(経済産業省連携事業)」
※2022年4月3日時点の情報です
2-3.LCCM住宅整備推進事業
LCCM住宅整備推進事業とは、「LCCM住宅(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)」を対象に補助金が交付される事業です。LCCM住宅とは、建設時において省CO2化に取り組み、かつ太陽光発電システムによる再生可能エネルギーを創出することで、ライフサイクル(建築から解体・再利用まで)を通じてCO2収支がマイナスとなる住宅を指します。当事業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて2022年から新たに創設されました。
補助要件 |
【下記のすべてを満たすもの】
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補助金 | 設計費・対象工事の掛かり増し費用の合計額の1/2 ※上限140万円/戸 |
出典:環境省「住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業」
※2022年4月3日時点の情報です
2-4.地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業とは、国土交通省の採択を受けた事業者が建築した木造住宅を対象に補助金が交付される事業です。省エネ住宅の推進だけでなく、地域における木造住宅の生産体制の強化・環境負荷の低減を目的とした補助金制度となっています。
補助対象 |
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補助金 |
●地域材等加算 →主要構造材に地域の木材を使用する場合:20万円/戸 地域の伝統建築技術の継承に資する住宅を建築する場合:20万円/戸 ●三世代同居・若者子育て世帯加算 →玄関・浴室・キッチンいずれか2つ以上を複数個所に設置する場合:30万円/戸 40歳未満の世帯、または18歳未満の子どものいる世帯の場合:30万円/戸 ●バリアフリー加算 →住宅にバリアフリー対策を講じる場合:30万円/戸 ※複数の加算措置に対応する場合、上限は60万円/戸となる |
出典:環境省「住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業」
※2022年4月3日時点の情報です
2-5.優良木造建築物等整備推進事業
優良木造建築物等整備推進事業とは、炭素貯蔵効果が期待できる木造の中高層住宅・非住宅建築物の整備・プロジェクトを対象に補助金が交付される事業です。当制度も、カーボンニュートラルの実現に向けて2022年から新たに創設されました。
補助要件 |
【下記のすべてを満たすもの】
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補助金 | 調査設計計画比のうち、木造化に関する費用・工事費のうち、木造化に関する掛かり増し費用の合計額の1/2 ※上限300万円/戸 |
出典:環境省「住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業」
※2022年4月3日時点の情報です
2-6.こどもみらい住宅支援事業
こどもみらい住宅支援事業とは、子育て世帯や若い夫婦世帯による省エネ性能の高い新築住宅の取得・既存住宅の省エネ改修を行った個人を対象に補助金が交付される事業です。子育て支援・2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、2022年から新たに創設されました。
補助対象 |
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補助金 |
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出典:環境省「住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業」
※2022年4月3日時点の情報です
まとめ
なるべくお得にマイホームを購入したいのであれば、「ZEH住宅」がおすすめです。ZEH住宅いわゆる「生活に必要となる消費エネルギーを自らまかなえる住宅」のことで、月々の光熱費を抑えられるだけでなく住宅の資産価値も向上するというメリットがあります。
ZEH住宅を建てるには高性能の設備システムを導入する必要があるため、住宅費用は高まる傾向です。しかし、国は省エネ性能の高い住宅が補助対象となるZEH支援事業を実施しています。住宅取得の負担を軽減したいのであれば、補助金を賢く活用しましょう。
「グランディハウス」は、国のZEH基準に適合した住宅を手がけるハウスメーカーです。ここまでの内容を参考に、環境性能の高い家づくりをしたいと考えている人はぜひグランディハウスにご相談ください。