三階建て住宅は、狭い土地面積でも広めの居住空間を確保できるため、土地代が高くなりやすい都市部で根強い人気を誇っています。しかし、三階建て住宅には注意すべき点もあり、デメリットを知らずに建ててしまってから後悔する例は少なくありません。
そこで今回は、三階建て住宅で後悔しやすいデメリットについて紹介します。同時に、三階建て住宅ならではのメリットや後悔しないためのポイントも紹介するため、満足のいく家づくりを目指す人はぜひ参考にしてください。
1.後悔した!三階建て住宅のデメリット
三階建て住宅は、限られた土地でも十分な床面積を確保できる住宅の形式です。しかし、満足度が高く、長く住める三階建て住宅を建てるためには、三階建て住宅にどのようなデメリットがあるのか理解しなければなりません。
ここでは、三階建て住宅で後悔しやすい点を3つ紹介します。
1-1.階段を上り下りする負担がかかる
三階建て住宅の生活には、階段による移動が必須です。体力がある人は問題ありませんが、高齢者と同居する場合や病気・怪我に見舞われた場合は、上り下りの負担が大きくなります。階段の素材や角度によっては滑りやすい・足を踏み外しやすいといった点にも注意が必要です。
また、敷地面積によっては階段の折り返しが多い・幅が狭い間取りとなります。そのため、サイズが大きい家具・家電は階段を通せないケースが少なくありません。家具・家電の買い替えや引っ越し、模様替えの際にはクレーンの使用料金が発生する可能性があります。
1-2.生活動線・家事動線が悪い
狭小地に三階建て住宅を建てる場合は、ワンフロアに設置できる設備が限られます。間取りによっては各階に十分なスペースが確保できず、1つの階に設備をまとめてしまわなければなりません。
水回りをすべて1階に集めて3階にリビングを配置した間取りの場合、お手洗いを利用する度に1階と3階を往復する必要が生じます。部屋の配置によっては、身支度を整えるために何度も階を移動しなければならず、朝から疲れを感じる人もいるでしょう。
また、乾燥機を使わないのであれば、洗濯機を回す度に3階への階段を昇降しなければなりません。布団を干したいときにも視界が塞がれやすく、身動きが取りづらい状態での上り下りは重労働と言えます。
1-3.冷暖房効率が悪く電気代が高くなる
階ごとにフロアが遮られる三階建ては空気の循環が滞りやすく、冷暖房効率が悪くなります。各階に家族の過ごす場所がわかれていれば、すべての階でエアコンを取り付け・稼働しなければなりません。「生活スペースを1ヶ所に固めて節約を」と考えた場合でも、夏は3階が暑く冷房代がかかり、冬は1階が寒く暖房代がかかるため季節ごとの移動が必要です。
また、Wi-Fiルーターの置き場所や製品によっては、上下の部屋に電波が届かない・届きづらいケースがあります。中継器の設置やプランの変更が必要な場合、出費が増える可能性があるでしょう。通信速度が遅く有線接続へ切り替える場合には、LANケーブルを通す配管工事が必要です。
2.後悔ばかりではない?三階建て住宅のメリット
三階建て住宅にはいくつかのデメリットがあるものの、2階建てや平屋にはないメリットもたくさんあります。三階建て住宅のメリットに対して強く魅力を感じる場合は、三階建て住宅も検討するとよいでしょう。
ここでは、三階建て住宅のメリットを3つ紹介します。
2-1.木造2階建てよりトータルコストを抑えられる
狭小地に三階建て住宅を建てる場合は、2階建てや平屋と比べてトータルコストを抑えられる傾向です。
長く住み続けることを考えると、ある程度ゆとりのある居住スペースを確保したいと考える人は多いでしょう。しかし、土地代が高額な地域に2階建てや平屋で十分な敷地面積を確保しようと考えると、土地の購入資金だけでも大きな負担となります。
三階建ては、同じ敷地でも2階建てや平屋より広い延べ床面積を確保できるため、大きな土地を購入しなくても希望する広さの家を手に入れることが可能です。立地条件がよく土地代が高い地域でも、三階建てであれば低コストで住みやすい家を手に入れられる可能性が高まります。
2-2.日当たり・風通しのよい家になる
三階建ての住宅は周囲の建物よりも高さのある家になるケースが多く、日当たりや風通しを確保しやすい傾向です。近くに自宅より高い建物がなければ、見晴らしのよさも十分に期待できます。リビングを2階以上に設置すれば、日中は照明や冷暖房なしで快適に過ごせる地域もあるでしょう。また、3階は窓を開けていても虫が入りにくいメリットもあります。
屋上を設置した場合は眺めや洗濯物の乾きもよく、目隠しがあれば日光浴や子どもと水遊びをしても、周りの目を気にする必要がありません。テレビや衛星放送などの電波を遮る障害物も少ないため、感度がよく快適に視聴できるでしょう。
2-3.フロアごとに空間を使い分けられる
三階建て住宅は、フロアごとに空間を区切った使い分け方が可能です。一世帯で住む場合は、1階に水回りを集め、2階は各自の個室を割り当て、3階にリビングを設けるといった使い方ができます。二世帯、三世帯住宅とする場合は、世帯ごとに階を分けてもよいでしょう。
また、三階建てであれば、1階を店舗や賃貸物件として使っても十分な居住スペースを確保できます。ほかにも、1階に防音室を設けてシアタールームやミュージックルームとして使ったり、丸ごとビルトインガレージとして使ったりするアイデアもおすすめです。
3.後悔しない三階建て住宅にするポイント
三階建て住宅は、デメリットを十分に補えるだけのメリットがあります。しかし、三階建て住宅は建築法や建築規制の影響を受けやすい点に考慮が必要です。
例えば「第一種・第二種低層住居専用地域」に指定された土地には、建物の高さや建築できる店舗の種類に制限があります。また、三階建てにすることで隣家の採光率が悪化した場合、ご近所トラブルに発展するケースも少なくありません。三階建て住宅を建築する際は、法的な問題や近隣へ悪影響を及ぼす心配がないか、地域の状況をチェックすることが大切です。
ここでは、後悔しない三階建て住宅にするポイントを紹介します。
3-1.家の断熱性能を高める
三階建て住宅のメリットである「日当たりがよい」は、太陽の熱の影響を受けやすいとも言い換えられます。3階の天井部分が屋根や屋上の床と直結していると、熱の放出もままならず夏場は非常に暑くなります。三階建て住宅を建てる際は、下記のような工夫をして断熱性能を高めることが大切です。
- 屋根・壁・床には断熱材を使用する
- トリプルガラスなどの断熱性が高い窓ガラスを使用する
- 屋根裏部屋を設ける
また、空気は暖まると上に、冷めると下に溜まる性質があります。住宅に吹き抜けを採用する場合、天井にシーリングファンを取り付けると冷暖房効率を上げることが可能です。
3-2.老後も暮らしやすい間取りを考える
住宅の上下移動が必須となる三階建て住宅を選ぶ場合は、生活動線や家事動線を想定したうえで老後も暮らしやすい間取りを考えましょう。下記は、老後を見据えた間取りの例です。
- 階段に手すりを付ける
- 家族構成の変化に伴って部屋割りを変えやすくする
- バリアフリー化を視野に入れてデザインする
- 階段昇降機の設置スペースを確保する
- エレベータの設置スペースを確保する
- 1階へ生活に必要な設備を集約できるようにしておく
- 寝室のそばにお手洗いを設置する
老後になってからの大がかりなリフォームは大変です。住宅の構造によっては後からの間取り変更が不可能な場合もあるため、設計段階から将来を見越した住まいづくりをおすすめします。
まとめ
三階建て住宅には、階段を上り下りする負担が発生するほか、生活・家事動線が悪くなりやすい、電気代が高くなりやすいといったデメリットがあります。しかし、三階建て住宅のデメリットは、設計時に間取りを工夫するなどの対策でカバーすることが可能です。
また、三階建て住宅はメリットもたくさんあります。日当たり・風通しが確保できる、住宅の使い道が幅広いといったメリットもあるため、メリットに魅力を感じる人は三階建て住宅も検討してみてはいかがでしょうか。