家を建てたいと考えている場合、建設予定の土地が宅地であることを確かめる必要があります。しかし、家を建てる機会は何度もないため、周囲に住宅が建っていれば、予定の土地で問題なく住宅を新築できると考えている人は多いのではないでしょうか。
土地には宅地以外の分類があり、家を建てられるかどうかは、土地の地目によって決まります。宅地であっても災害リスクのある土地や、法律による制限がある土地も存在するため、マイホームの計画を立てる前にポイントを把握しておきましょう。
今回は、宅地建物取引業法における宅地の定義や分譲地との違い、宅地の選び方などについて解説します。
1.宅地とは?
宅地とは、建物の敷地として使用できる土地です。宅地建物取引業法では、宅地の定義として以下の3つを定めています。
用途地域内に存在している
都市計画法で定められた13種類の用途地域内に存在している土地は、いかなる目的の不動産売買でも宅地として扱われます。
公共施設の用地は除外する
用途地域内に存在する土地のうち、道路・水路・河川・公園・広場など公共で使用されている土地は、宅地として扱われません。
建物の敷地にすることを目的として売買の対象とされている
建物の敷地として使用するために売買される土地は、現在の利用状況・利用目的とは関係なく、宅地建物取引業法ではすべて宅地として扱われます。たとえば、所有地内にある公園を建物の敷地とするために売買する場合、現況は公共施設であっても宅地に該当します。
1-1.地目と宅地の関係
地目(ちもく)とは、土地の用途による分類を指し、土地の不動産登記記録に記載する情報の一つです。地目は以下の23種類があり、宅地は地目の一つとして分類されています。
宅地 | 建物の敷地、および建物の維持・効用を果たすために必要な土地 |
---|---|
田 | 用水を利用して耕作する農耕地 |
畑 | 用水を利用せず耕作する農耕地 |
牧場 | 家畜を放牧する土地であり、必要な建物や牧草栽培地なども含む |
原野 | 耕作の方法によらず、雑草・灌木類が生育する土地 |
塩田 | 海水を引き入れて製塩する土地 |
鉱泉地 | 鉱泉の湧出口、および維持に必要な土地 |
池沼 | 灌漑用水以外の貯留池 |
山林 | 耕作の方法によらず、竹木が生育する土地 |
墓地 | 人の遺骸・遺骨を埋める土地 |
境内地 | 社寺の境内に属する土地 |
運河用地 | 運河法第12条第1項第1号および第2号に該当する土地 |
水道用地 | 専ら給水を目的として敷設する水道の水源地や水道線路などに必要な土地 |
用悪水路 | 灌漑または悪水排泄を目的とした水路 |
ため池 | 耕地灌漑用の用水貯留池 |
堤 | 防水を目的として築造された堤防 |
井溝 | 田畝や村落間にある通水路 |
保安林 | 森林法に基づき保安林として指定された土地 |
公衆用道路 | 一般交通の用を目的とした道路 |
公園 | 公衆の遊楽を目的とした土地 |
学校用地 | 校舎・附属施設の敷地および運動場 |
鉄道用地 | 鉄道駅舎・附属施設および路線の敷地すべて |
雑種地 | 上記地目に該当しない土地 |
つまり、基本的に家を建てられる地目は、建物を建てる目的とされた宅地のみです。ただし、現況地目が宅地以外であっても、対象地の地目を宅地へと変更登記することで、家を建てるために土地を使用することができます。
1-2.宅地と分譲地の違い
家を建てられる土地としては、宅地の他に分譲地と呼ばれる土地も存在します。分譲地とは、不動産会社などが広い土地を区画整理し、小さく分けて販売している土地です。分譲地は建物を建てることを目的とした土地であるため、地目で分類すると宅地に該当します。つまり、「大きな宅地」をいくつかに分けて「小さな宅地」にした土地が分譲地です。
宅地と分譲地はどちらも家を建てられる土地であるものの、細かな点では違いがあります。主な違いは以下の通りです。
施工業者 | |
---|---|
宅地 | 分譲地 |
自由に選べる | 決まっている場合が多い |
電気・ガス・水道 | |
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宅地 | 分譲地 |
費用を払って引き込む必要がある | 最初から引き込まれた状態で販売されている |
隣地との境界 | |
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宅地 | 分譲地 |
決まっていない場合もある | 明確に決められている |
2.宅地を選ぶ際のポイント4つ
購入する宅地を選ぶ際は、土地について詳しく調べることが大切です。宅地を選ぶ際は、次のポイントを押さえましょう。
- 災害リスクや地盤の状態を把握する
- 土地の境界線を確認する
- 都市計画法に基づく制限を受けないか確認する
- 建築条件付き土地も検討する
以下では、宅地を選ぶ際の4つのポイントについてより詳しく解説します。
2-1.災害リスク・地盤の状態を把握する
日本は地震・洪水などの自然災害が多く、傾斜が急な山のふもとや崖地、傾斜地などは災害による大きな被害が出る可能性があります。土地の災害リスクを調べる場合は、国土交通省のハザードマップポータルサイトを利用することがおすすめです。
また、地盤の状態も必ず確認しましょう。土地の地目がもともと田・畑などであった場合、地目が宅地に変わっても、地盤が家を建てられるほど丈夫ではないこともあります。地質調査によって宅地が脆弱な地盤であると分かった場合は地盤改良工事が必要となり、調査費用・工事費用が追加でかかります。
2-2.土地の境界線が明確になっているかを確認する
宅地購入の際に注意したいことが、土地の境界線をめぐって隣地とトラブルが発生しないかです。通常、隣地との境界には境界線を表す「境界標」が打ち込まれているものの、中には境界標が亡失していたり、もともとなかったりすることもあります。
宅地の購入後に揉めないためにも、あらかじめ土地の境界線が明確になっているかを確認しましょう。宅地の境界線付近に境界標が見つからない場合は、隣地の所有者に立ち会ってもらった上で、土地家屋調査士に依頼して境界線を確定する手続きが必要です。
2-3.都市計画法に基づいた制限がないかを確認する
都市計画法において街づくりを計画的に進めることが定められたエリアは「都市計画区域」と呼ばれます。都市計画区域は、以下の3つの区域区分に分類できます。
市街化区域 | 現在市街地である、もしくは今後優先的に市街地化するエリア |
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市街化調整区域 | 農地・森林など、市街化の抑制が求められるエリア |
非線引き区域 | 街づくりの計画はあるが、保留のエリア |
新たに家を建てる場合、許可が下りやすいエリアは基本的に市街化区域です。
また、市街化区域では原則として用途地域が定められており、建築できる建物の種類・構造や建ぺい率・容積率などが規制されています。用途地域は以下の表のように13種類あり、住居系・商業系・工業系の3つに分類できることが特徴です。
住居系 |
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商業系 |
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工業系 |
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たとえば、第一種低層住居専用地域は、基本的に低層建築物を建てるための地域です。一方、工業専用地域は工場のみと定められているため、家は建てられません。
2-4.建築条件付き土地も視野に入れる
建築条件付き土地とは、「一定期間内に指定の建築業者で住宅を建てる」条件がついた土地のことです。建築条件が付いているため、購入者は家の建築業者を自由に選ぶことはできません。しかし、建築条件付き土地は条件なしの土地よりも割安なケースが多いことがメリットです。
土地の持ち主は住宅建設にとっての「条件の良い土地」を建築関連会社に売ることが多く、建築関連会社は買った土地を建売住宅もしくは建築条件付き土地として販売します。そのため、一般の人が建築条件の付いていない「条件の良い土地」を見つけることは簡単ではありません。「条件の良い土地」を購入したい場合は、建築条件付き土地も視野に入れて探しましょう。
3.費用を抑えて住宅を購入したい場合は「分譲住宅」もおすすめ
宅地を購入後に注文住宅を建てると、土地購入費用にプラスして建築費用がかかります。費用を抑えて住宅を購入したい場合は「分譲住宅」もおすすめです。
分譲住宅は住宅プランが既に決定しているため、注文住宅に比べて購入費用が明確であることがメリットです。完成した住宅の内見もできるため、自分の目で住宅外観・内装を見てから購入を決められます。
分譲住宅を探す際は、グランディハウスの分譲住宅ナビをぜひご利用ください。分譲住宅ナビでは、購入したい分譲住宅を市町村・路線・学区などの条件で検索できます。
まとめ
宅地とは、建物の敷地として使用できる土地です。宅地は地目の一つであり、住宅を建てる土地の登記地目は宅地として記録されている必要があります。
宅地を選ぶ際は、土地の災害リスクや地盤、隣地との境界線、都市計画法に基づく制限に注意してください。条件の良い土地を選びたい場合は、建築条件付き土地も視野に入れましょう。
費用を抑えて住宅を購入したい場合は、分譲住宅も選択肢の一つです。分譲住宅探しには、ライフスタイルに合った条件で分譲住宅を検索できる、グランディハウスの分譲住宅ナビをご利用ください。