土地・建物の所有者は、毎年固定資産税を支払う必要があります。固定資産税は所有する固定資産に対して課せられる税金のことで、固定資産価格をもとに税額が算出されることが一般的です。
しかし、具体的に自身の所有している、もしくは今後購入を考えている土地や建物の固定資産税はどれくらいになるか把握している人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、固定資産税をシミュレーションできる計算方法から税負担を軽減する方法まで詳しく紹介します。固定資産税がどのような仕組みで発生するのか、どれほど必要になるのか知りたいという人はぜひ参考にしてください。
1.固定資産税をシミュレーションする計算方法
固定資産税の税額を算出するためには、「固定資産税評価額(建物・土地の課税標準額)×1.4%」の計算式を用いることが基本です。地域によっては、1.5%や1.6%となります。
固定資産税評価額は、各自治体によって土地価格や建物の時価額をもとに算定されます。固定資産税評価額は基本的に3年に一度の間隔で見直され、当時点の地価に応じて算定されることが一般的です。
ここからは、固定資産税をシミュレーションするにあたり、理解すべき計算の手順を3つのステップに分けて説明します。
1-1.STEP1:固定資産税評価額を調べる
固定資産税評価額とは、いわゆる固定資産税を決めるにあたって基準・指標となる評価額のことです。すでに土地・建物を所有し、一度固定資産税を納税している人は、送付される納税通知書(納付書)の課税明細書に固定資産税評価額が記載されています。
今後住宅の取得を検討している人は、新築住宅を購入するか、中古住宅で購入するかによりある程度の固定資産税評価額の調べ方が異なります。新築住宅を購入する場合は、モデルハウス・モデルルームで担当者に尋ねることで、目安となる税額を教えてもらうことが可能です。中古住宅の場合はすでに固定資産税評価額が出ているため、不動産会社の仲介担当者に税額を尋ねましょう。
また、固定資産税評価額を調べる際は「課税標準額」と混合しないよう注意してください。住宅の固定資産税評価額は基本的に課税標準額と同様ですが、土地の場合は軽減特例措置などにより調整されるため、課税標準額が小さくなる可能性があります。
1-2.STEP2:建物の固定資産税を計算する
固定資産税評価額を調べたあとは、「建物」の固定資産税を計算しましょう。建物の固定資産税額がわからない場合は、建物・土地の課税標準額を調査する必要があります。
建物の課税標準額は、「再建築価格方式」によって算出されることが基本です。再建築価格方式とは、「同じ土地に同じ建物を建てた場合、どれほどの価格がかかるか」を想定して建築価格を定める計算方式で、経年劣化分を評価・減額して最終的な課税標準額が求められます。
とは言え、建物の固定資産税・課税標準額を細部まで細かく計算することは困難です。そのため、概算として購入価格の約50%~70%が目安と考えておきましょう。
1-3.STEP3:土地の固定資産税を計算する
建物の固定資産税を概ね計算できたあとは、「土地」の固定資産税を計算しましょう。土地の固定資産税額は、「土地の面積×路線価」の路線価方式で算出されることが一般的です。路線価が定められていない土地の場合は「評価倍率方式」で評価額が算出されます。評価倍率方式での計算式は、「土地の面積×評価倍率」です。
全国の路線価・評価倍率は、国税庁から公式ホームページにて公表されています。地域差があるため、正確な土地の固定資産税を算出するためにも必ず確認しておくことがポイントです。
(参考:国税庁「路線価図・評価倍率表」)
なお、土地の固定資産税をおおまかに知りたいという人は、「土地時価の約70%前後が目安」であることを覚えておきましょう。例えば1,000万円で売買されている土地の場合、土地の固定資産税評価額は700万円程度となります。
2.【住宅別】固定資産税のシミュレーション
建物(家屋)の種類などによっても、固定資産税は異なります。特に戸建て住宅とマンションでは固定資産税が大きく異なるため、自身に適した種類で正しくシミュレーションしましょう。
ここからは、新築の戸建て住宅・マンションそれぞれの場合における固定資産税をシミュレーションします。
2-1.新築の戸建て住宅の場合
新築戸建て住宅の場合、固定資産税評価額に標準税率である1.4%を掛け合わせた数字が固定資産税となります。下記は、2021年(令和3年)8月に建てられた新築戸建て住宅の固定資産税のシミュレーション結果です。
【シミュレーション】新築戸建て住宅の固定資産税 | |
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土地の固定資産税評価額 | 2,500万円 |
建物の固定資産税評価額 | 1,500万円 |
土地の課税標準額 | 2,500万円×1.4%×1/6(※1)=5万8千円 |
建物の課税標準額 | 1,500万円×1.4%×1/2(※2)=10万5千円 |
(※1)小規模住宅用地で住宅1戸につき、200平方メートル以下の部分は6分の1に減額
(※2)新築戸建て住宅の減税措置により、3年間2分の1に減額
上記のように、新築戸建て住宅の場合は土地で5万8千円、建物で10万5千円で、年間合計で約16万3千円の固定資産税がかかります。
2-2.新築のマンションの場合
新築マンションの場合も、新築戸建て住宅と同様、固定資産税評価額に標準税額の1.4%を掛け合わせた数字が固定資産税となります。下記は、2021年8月に建てられた新築マンションの固定資産税のシミュレーション結果です。
【シミュレーション】新築マンションの固定資産税 | |
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土地の固定資産税評価額 | 2,000万円 |
建物の固定資産税評価額 | 1,300万円 |
土地の課税標準額 | 2,000万円×1.4%×1/6(※1)=4万6千円 |
建物の課税標準額 | 1,300万円×1.4%×1/2(※2)=9万1千円 |
(※1)小規模住宅用地で住宅1戸につき、200平方メートル以下の部分は6分の1に減額
(※2)新築マンションの減税措置により、5年間2分の1に減額
上記のように、新築マンションの場合は土地で4万6千円、建物で9万1千円で、年間合計で約13万7千円の固定資産税がかかります。
3.固定資産税の税負担を軽減する方法
シミュレーションでも減額されていたように、固定資産税はある条件によって減額でき、納税の負担を軽減させることが可能です。
固定資産税の税負担を軽減するための方法には、下記の3つが挙げられます。
- 新築住宅を取得する
- 住宅用地の特例を受ける
- 住宅をリフォームする
最後に、それぞれの方法について詳しく解説します。
3-1.新築住宅を取得する
新築住宅を取得することで、固定資産税の税負担を軽減させることが可能です。
2022年3月31日までに建築された新築住宅には、建物部分において戸建て住宅・マンションそれぞれに下記の減額措置を受けられます。
新築戸建て住宅 | 3年間にわたり、固定資産税が1/2に減額される |
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新築マンション | 5年間にわたり、固定資産税が1/2に減額される |
戸建て住宅とマンションとで減額される期間は異なるものの、税額がいわゆる半額となることから、税金の支払いを大幅に軽減することが可能です。なお、当措置を受けるためには、居住部分の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下が条件となることも覚えておきましょう。
3-2.住宅用地の特例を受ける
住宅用の建物には、住宅用地の特例が適用されます。住宅用地の特例は固定資産税だけでなく都市計画税も減額させることが可能で、土地の広さや住宅部分によって減額条件が異なります。
200平方メートル以下の部分 | 固定資産税が1/6となる | 都市計画税が1/3となる |
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200平方メートル超の部分 | 固定資産税が1/3となる | 都市計画税が2/3となる |
200平方メートル以下の部分は「小規模住宅用地」の特例が適用され、200平方メートル超の部分は「一般住宅用地」の特例が適用されます。一般住宅用地の方が固定資産税の税負担が軽くなることも特徴です。
なお、住宅用地の特例を受けるためには自己申告手続きを行わなければなりません。申告期限も定められているため、入居が決まったらなるべく早い段階で手続きを完了させましょう。
3-3.住宅をリフォームする
省エネ・耐震・バリアフリー・長期優良住宅化などに関するリフォームを行えば、建物部分の固定資産税が1年間2分の1に減額されます。リフォームによる軽減措置には、併用できるものとできないものがある点に注意してください。
また、リフォーム減税制度の対象となるリフォーム工事・改修工事を行っただけでは軽減措置を受けられません。住宅リフォームによる軽減措置を受けるためには、工事完了日から3か月以内に役所に訪れ、固定資産税の軽減措置申請を行うことが必須です。
まとめ
ここまで、固定資産税の計算方法やシミュレーションから、固定資産税の税負担を軽減する方法まで説明しました。固定資産税額は主に、「固定資産税評価額×1.4%」で算出されます。正しい固定資産税評価額を調べるためには、建物・土地それぞれの課税標準額も求めなければなりません。
また住宅によっては、税負担を大幅に軽減できる特例措置を受けられます。固定資産税の負担を軽減させたいという人は、建築されてから年数がさほど経っていない新築住宅を取得したり、中古マンションを購入して軽減対象となるリフォームを行ったりしましょう。軽減制度を上手に活用すれば、支払うべき固定資産税を最大限抑えることが可能です。
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