家を建てる際に土地が必要となる場合は、購入して用意する必要があります。これから家の購入を考えている方や不動産について勉強している方のなかには、住宅用地に関する「分譲地」「宅地」といった不動産用語について詳しく知りたい方もいるでしょう。
当記事では、分譲地の概要から、分譲地のメリット・デメリット、分譲地を選ぶ際のポイントまでを解説します。
住宅用地についての知識を身に付けたい方、住宅用地についての不安や疑問を解消したい方、納得して土地を購入したい方は、ぜひ参考にして下さい。
1.分譲地とは?
分譲地とは、面積の大きな土地を不動産会社が購入して、住宅を建てられるように区画整理を行って販売している土地のことです。一定の面積を確保するために、従来は住宅用地ではなかった田畑や山林などの土地を買い取るケースが多くあります。
分譲地は、販売用に区画整理を行うため、既に電気・水道・ガスといった生活インフラが整っており、土地としての質が高いことが特徴です。
1-1.分譲地と宅地の違い
分譲地と宅地は、両者とも「住宅を建てるための土地」と言う点では共通していますが、土地の特徴・状態・制限などにおいて違いがあります。ここでは、分譲地と宅地の違いを定義に基づいて解説します。
宅地
土地は用途により登記記録に記載される地目が異なります。宅地とは、地目の一種で「建物の敷地及びその維持もしくは効用を果たすために必要な土地」として定義されている土地です。
分譲地
分譲地とは、不動産会社などが面積の大きな土地を区画整理して、宅地として小分けに販売している土地のことです。既に区画整理された土地から選ぶという制限があります。
1-2.分譲住宅とは?建売住宅・注文住宅との違い
分譲地とセットで用いられる用語に、分譲住宅があります。ここでは、分譲住宅が示す用語の意味と、同じ一戸建て住宅である建売住宅・注文住宅との違いについて解説します。
分譲住宅とは
分譲地に建てられた住宅のことです。間取りやデザインがある程度決まっていることが特徴です。
建売住宅とは
不動産会社が購入した土地に既に建てられた住宅のことです。宅地も分譲地も含まれます。近年では混同されるケースが多く見られます。
注文住宅とは
自分で選んで購入した土地に、自由なデザイン・間取りで建てられるオーダーメイドの住宅のことです。宅地でも分譲地でもオーダーメイドであれば注文住宅と呼ばれます。
2.分譲地のメリット・デメリット
分譲地は、元々田畑や山林であった土地を、暮らしやすい街並みを意識して整備されるケースが多いため、電気・ガス・水道といった生活インフラ工事がしっかり行われています。つまり、すぐにでも家を建てられる状態で販売されていることが特徴です。
しかし、分譲地にはメリットもあればデメリットもあります。ここでは、分譲地のメリット・デメリットについて紹介するため、分譲地について理解を深めるためにもぜひ参考にして下さい。
2-1.メリット
分譲地には、住宅を建てるうえでのメリットが多数あります。分譲地のメリットを最大限に活かすためにも、以下に挙げるメリットについて確認しておきましょう。
コストパフォーマンスに優れている
分譲地は、土地をまとめて区画整理するため、宅地よりも開発コストを大幅に抑えることができます。そのため、洗練された土地を手頃な価格で購入できることが大きなメリットです。
また、購入価格が明確であるため、土地と住宅をセットで購入する場合の予算を見積もりやすいこともメリットと言えます。
生活インフラが既に整備されている
分譲地は、宅地とは異なり電気・ガス・水道といった生活インフラが既に整備された状態で販売されていることがほとんどです。そのため、すぐにでも住宅を建てることができる点がメリットです。
また、生活インフラを整備するコストが必要ないため、他に予算を使えるというメリットもあります。
住みやすさ・生活利便性が考慮されている
分譲地は、土地を購入して家を建てた方が暮らしやすいように、街づくり計画が事前に考慮されているケースが多くあります。そのため、近隣に商業施設・ゴミステーション・公園なども併せて整備されており、住みやすさと生活利便性に優れていることがメリットです。
2-2.デメリット
分譲地には、メリットだけではなくデメリットもあります。メリットばかりに目を向けていると思わぬ失敗をする場合があるため、以下に挙げるデメリットについても確認しておきましょう。
土地の広さを自由に決めることができない
分譲地は、既に区画整理された状態で販売されるため、土地の広さを自由に決めることはできません。
建てたい住宅は、必然的に購入した分譲地の面積・形状の範囲内で設計することとなる点がデメリットです。
近隣とのコミュニティ形成は避けられない
分譲地は、住宅を建てた後同じエリアの住民同士で長期間暮らすこととなります。近所付き合いや地域活動などを通じて密なコミュニティが形成されるため、隣近所との関係性をあまり持ちたくない方には避けられないデメリットとなります。
また、どのようなコミュニティが形成されるかは、住宅を建てた後でしか分からない点もデメリットと言えるでしょう。
交通利便性が悪い場合もある
分譲地はある程度広大な面積の土地から整備されるため、駅から遠い郊外に位置することが少なくありません。
公共交通機関を利用する場合は生活利便性が低下する可能性があるため、事前に周辺環境をチェックしておく必要があります。
3.分譲地を選ぶ際のポイント3つ
分譲地は区分けされていて整備されていることがメリットですが、隣地境界のルールが曖昧な場合は土地の境界を巡ったトラブルが発生しやすいため注意が必要です。分譲地を選ぶ際には、必ず隣地境界のルールの確認を怠らないようにしましょう。
また、隣地境界以外にも分譲地を選ぶ際に注意すべきポイントがいくつかあるため、以下に解説します。
3-1.道路の位置・舗装を確認する
分譲地を選ぶ際には、隣接する道路の確認も怠ってはなりません。道路をチェックするポイントは主に以下の2点です。
道路はどの方角に面しているか
複数の区画が密集する分譲地は、道路の方角によって日当たりや間取りの取り方が大きく異なります。東側・西側・南側道路の区画は、それぞれ日照時間によるメリット・デメリットがありますが、日当たりは良好です。
注意すべきは、北側道路の場合は他の方角と比べて日照条件が悪くなる点です。分譲地を選ぶ際は、住宅を建てた後の生活をイメージし、道路の方角は特に意識して選ぶようにしましょう。
道路の舗装状態が良好であるか
分譲地に隣接する道路は、生活利便性を大きく左右します。歩きやすさ・凹凸・バリアフリー対応などを細かくチェックするようにしましょう。
特に、子育て世帯である場合は、ベビーカーを押す場合や女性がサンダルやヒールで歩く場合を想定して、なるべくフラットな舗装の道路を選ぶことがおすすめです。
3-2.ガイドラインの有無を確認する
分譲地を選ぶ際には、土地の形状や位置などの諸条件だけではなく、ガイドラインが設けられていることも重要です。ガイドラインとは、分譲地を活用するうえでの決まりごとです。
ガイドラインが重要な理由は、分譲地を購入した方々が好きなように家を建ててしまうと、下記のような隣家同士のトラブルに発展する可能性があるためです。
- 家同士の窓が向き合っているため、カーテンを閉めっぱなしで窓が機能しない
- 隣家が日当たりを遮って新築マイホームが暗い
分譲地を購入してマイホームを建てた場合は、近隣の家族と同じエリアで長期間暮らすこととなります。不要なトラブルを避けるためにも、ガイドラインの有無は必ず確認しましょう。
3-3.建築条件付き土地かどうかを確認する
分譲地には大きく分けて以下の3つの種類があり、それぞれ土地活用の条件が異なります。
分譲宅地
建築会社を自由に選んで活用できる宅地
建築条件付き宅地
家を建てる際の建築会社が指定されている宅地
建売住宅
分譲地に既に建てられた家をセットで販売している形態
分譲地を購入する際には、特に分譲宅地か建築条件付き宅地であるかを事前に確認する必要があります。建築条件付き宅地は、建築会社を指定されている制限があり、周囲の住宅と同じような外観・レイアウトになりやすいためです。
建築条件付き宅地であっても、多くは追加費用を支払うことで制限を解除して建築会社を自由に選ぶことができます。ただし、その際目安として300万円程度と比較的高額の費用が必要となります。
建築会社を自由に選びたい場合は、事前に必ず建築条件付き宅地であるかどうかを確認するようにしましょう。
まとめ
複数の区画が集まった分譲地は、整備が行き届いており住宅を建てるための生活インフラも整っているため、区画選びさえ間違わなければ住宅を建てるのに最適な土地です。
日照条件やガイドラインなどの諸条件を事前にチェックしておけば、後から後悔することもなく満足度の高いマイホームを建てることができるでしょう。
これから分譲地の購入を検討している方は、ぜひ今回紹介した分譲地の特徴や選び方を参考にして、マイホームを建てるために最適な土地を手に入れて下さい。